長岡高校応援歌物語・第八章 『若人』

若人光浴び
若き血躍る 戦はんかな
いざ我等
健児一千 雄叫べば
今こそ待ちにし
柏の勝鬨
大空高く 響くらん

毎週日曜日の朝9時から、テレビ朝日系列の全国ネットで放映されている「題名のない音楽会」という長寿番組がある。今から三十年くらい前、筆者が大学生だった頃の事である。当時、作曲家の黛敏郎氏が司会者を務めており、氏の音楽的嗜好によるのか、よく日本の古い楽曲を取り上げていたものである。

ある時の事、その日は旧制高校の「校歌・寮歌」を取り上げていた。前日の「コンパ」で飲み過ぎ、不快な胃の症状と頭痛とに悩まされ、一人呻吟している筆者の耳に突然飛び込んできたフルオーケストラによる力強い弦の響き。それは、紛れも無く「若人」のメロディーであった。

「えっー、な、なんで〜?なんでこんな曲が、こんな番組で・・・・」と大いに驚いたのであるが、それは二日酔いの頭を一瞬にして通り過ぎ、消えて行った。残念なことにこの曲がどこの学校の、何という曲だったのかまったく記憶にない。どうやら、どこかの高等師範学校の校歌だったような・・・・。

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<閑話休題>

埼玉県内に旧制中学校の流れを汲む公立高校で構成する「伝統六校」と呼ばれている学校群がある。「浦和」「熊谷」「川越」「松山」「春日部」「不動岡」の六校である。

野球の地区予選でこの六校同士が対戦すると、応援団同士が大いに燃え上がり、「試合に負けても応援では決して負けない!」とばかり激しい応援合戦を繰り広げる。そして、応援の甲斐なく試合に敗れると「野球に負けたのは応援が足りなかった所為だ!!」と厳しい説教が男子トイレや球場のカゲで、上級生の応援部員から下級生になされるのである。

「伝統六校」のようなバンカラ応援もあれば、「埼玉栄」や「浦学」のように大規模編成のブラスバンドやチアガールを引き連れ、華やかな大応援を繰り広げるチームもある。おもしろいことに、埼玉の高校の応援歌はどこの学校も同じ曲を共用していることが多く、それも昭和四十年代に流行った歌謡曲やアニメソング、TV番組の主題歌等が応援歌として歌われているのだ。[「狙い撃ち」(山本リンダ)、「GOGOトリトン」(海のトリトンのテーマ)、「暴れん坊将軍」、「ロッキーのテーマ」、「紅」(XーJAPAN)etc.]

全国的に見ても、いわゆる「バンカラ」応援が残っているのは、岩手県や宮城県のようについ最近まで「男女別学」制度が残っていた東北の高校に多いようである。
時々、弊衣破帽のとんでもないバンカラ高校が甲子園に出場し、応援する光景に出会うことがあるが、それも高校野球観戦の楽しみのひとつである。

文: 長高 健児 (ながたか けんじ)
企画・制作: 長岡高校S50年卒「50☆50の会 印刷・HP分科会」
(2006.3.31掲載)

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